LACOSTE RUNWAY SHOW SS2026 | THE LOCKER ROOM

2025年10月06日

パリのリセ・カルノ(Lycée Carnot)にある象徴的なエッフェル・ホールにて開催されたラコステの2026年春夏ランウェイショー。エクトル・ドゥジョルジュ(Hector Degeorge)が1895年に手がけた鉄とガラスの名建築が、「ロッカールーム」へと姿を変えました。タイル張りの空間は、ルネ・ラコステをはじめとするテニススターやアスリートにとって馴染み深い“舞台裏”を想起させ、曲線を描くガラスパネルやカーテンのように垂れるシャワーカーテンが、プライベートな儀式とパブリックなスペクタクルの境界を溶かし、覗き見のような雰囲気を生み出します。

2026年春夏コレクションは、勝利の高揚感と敗北の静かな自省のあいだに漂う「ロッカールーム」を舞台にしています。そこはチャンピオンも情熱的なアマチュアも、もっとも無防備な瞬間と向き合う聖域。ラコステのクリエイティブ・ディレクター、ペラジア・コロトロスは、この没入的な空間においてブランドのアスレチックDNAを新たな光で捉え、競技の勝敗を超えて、創業者ルネ・ラコステの formative(形成期)に焦点を当てています。
今季はスポーツへの感覚的オマージュ。選手と観客が共有する「限界を超える情熱」を讃えます。試合で着古したテニスポロのボタンを外す瞬間、トラックスーツを緩める仕草──完璧さの支配に抗う「未完成の着こなし」の魅力を探求。汗に濡れたユニフォームを脱ぎ捨て、新たな軽やかさとエレガンスに身を包むのです。
ラコステのスポーツの伝統は基盤でありながら、そこに生まれるのは粗削りなオーセンティシティから洗練への進化。透明と不透明、快適さと流動性、アスレチックな意志とイージーシックとの間で、新しい矛盾が生まれます。
センシュアリティ、未完成のプロポーション、そしてアスレチック・ヘリテージをヴィンテージ・スポーツのムードでリミックス。透けるポロ、ミラーレザーのステートメント、〈Tennis for Everyone〉の文字を背負ったバスローブ風トレンチコート、テックシルクやナイロンの軽やかな素材が、ラバー加工コットンやウェットルックのナイロンと張り合う。そんなエレガントでダイナミックなワードローブが展開されます。

シルエットとテクスチャーは多様性とアスレチックなエネルギーを優先。パフォーマンス素材は、ヘリテージを現代的にアップデートしたものや、ロッカールームから着想を得た意外性のある要素と共鳴します。シャワーカーテンを思わせる透明なオーガンザ、意外な使い方をされた光沢のあるタオル地、そしてリフレクティブなレザーなどです。
すべてのアイテムは、実際の着こなしのクリエイティビティを掘り下げています。それはラコステの成功を支えてきた重要な要素。デビューコレクションでテーラリングを導入したコロトロスは、今季も流れるようなシルエットと再解釈したポロシャツを展開。オーバーサイズで透けるナイロンのポロは、軽やかな構築的アイテムやワイドなヴィンテージ風パンツと組み合わされます。ブランドを象徴するポロも、ポプリンやテリー素材で刷新され、「Tennis for Everyone」「Only for Tennis」といった文字が刻まれます。トロピカルウールや上質なモヘアが特染めナイロンやレザーと交わり、快適さと未完成のエレガンスの誘惑を強調します。今季のワニロゴは芝のテニスコートにインスパイアされた刺繍で表現され、フランスのサヴォワールフェールを称えると同時に、ヘリテージを新しい形で継承。テニスラケットのグリップを想起させるハンドルを備え、ヴィンテージのプリーツスカートに着想を得たディテールを纏う〈ランランバッグ〉も再登場します。
カラーパレットはヴィンテージスポーツウェアへのノスタルジーを喚起。鮮やかなオレンジやアーカイブブルーに、洗練されたトープやオリーブグリーンが寄り添い、アスレチックなエネルギーとエレガントな均衡を生み出します。そこに繊細な花の刺繍が加わり、創業者が100年前、1920年代のスポーツを通じて味わった喜びや栄光を祝福します。

2026年春夏コレクションは、勝利が脆さと出会う瞬間、ヘリテージが「未完成のエレガンス」という誘惑的な美と抱き合う瞬間をとらえ、ウェアに親密さの新しい基準を打ち立てます。

ランウェイショーを見る:https://www.lacoste.jp/fashion-show-ss26

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